日本語を活用した仕事について、必要とされる日本語力や専門性の目安とともに紹介する。
日本語人材の採用するときに知っておきたい日本語教育の今
日本語教育に関する最新調査
国際交流基金による2015年の「海外日本語教育機関調査結果」(1*)によれば、日本語教育は現在137の国と地域の16,167の機関で行われており、教師数は64,041人、学習者数は3,651,715人となっています。これは、前回調査が行われた2012年と比べると、日本語教育機関数と教師数はともに微増したいっぽう、日本語学習者数は調査開始から初の減少(8.4%減)に転じています。では、世界的に日本語学習熱は下火になったのでしょうか。だとすれば、優秀な日本語人材の獲得競争が高まることになり、日本の企業にとっては悩みのタネにもなりそうです。
日本語学習者の地域別変化
結論から言うと、日本語学習のトレンドは地域別に大きな変化を遂げているというのが国際交流基金の分析です。今回の調査のまとめによれば、日本語学習者数の世界上位3か国である中国、インドネシア、韓国では、少子化や教育課程の改定等の影響から、教育機関で学ぶ学習者数が大きく減少。特に韓国では30万人弱(33.8%)もの減少となっています。いっぽう、これらの3カ国を除けば学習者数は17万人の増加となっており、オーストラリア(20.5%増)、タイ(34.1%増)、ベトナム(38.7%増)、フィリピン(54.4%増)など、学習者数が大幅に増加した国もありました。
また、減少した国を見てもその内容はさまざまです。例えば、韓国では、第二外国語の非必修化が減少の大きな原因に挙げられていますが、少子化による学生数全体の減少も背景にあると言います。また、インドネシアでは、中等教育での教育課程の改定(第二外国語の選択科目への変化、第二外国語自体の廃止)などから全体では減少していますが、高等教育では25%以上学習者が増加しています。
日本語人材の採用を成功に導くには
日本語人材の採用を成功に導くためには、自社の市場の日本語学習者の傾向を読み解いた上で最適な戦略を立てることが重要になります。獲得競争の激化が予想されるのであれば、採用予算や雇用条件の見直しも視野に入れる必要がありますし、優秀な日本語人材の増加が見込めるならば、積極的な広報活動もより効果的になるでしょう。
今後の記事では、各国の日本語教育の現状についてもさらに詳しく見ていきたいと思います。
参照文献
- 国際交流基金 海外日本語教育機関調査結果(速報)
http://www.jpf.go.jp/j/about/press/2016/057.html
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